2020年08月06日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(82)M35宮坂正

その二 悲しみと苦しみ(82)
 
しばらくして、二人は病院へ戻った。
「この前ねえ、長岡さんと言う女の子が、見舞いに来てくれたんよ」
母の言葉に驚いた。
「えっ! 長岡さんが? なんでお母はんのこと、知ってたんやろ・・・」
母の入院は、奈々子には知り得えない筈なのに、どうして分かったのであろうか、とても不思議であった。
「それでねえ・・・、草山さんと、ここで顔を合わせたのよ。二人共、びっくりしてたわよ」
「ええっ! ここで二人が? そら、えらいこっちゃ! 草山さん、そんなことナンにも言わへんかったのに・・・」
ここで二人がハチ合わせになったのならば、母を前にして、どんな場面になったのか。お互いに興奮しただろう。以前、体育館で二人が向かい合った時の姿を思い出したが、それ以後の展開が頭の中には浮かんでこなかった。
「へえーっ! 君は結構、女の子にモテるんだ。感心しちゃうよ」
一朗が横から口を挟んだが、耳には入らなかった。
「それでどうなったん? その二人はモメへんかった? 」
咳き込むように、母に質問した。
「ううん、長岡さんはすぐに帰ったわよ。二人は殆ど話はしなかったわよ。あの長岡さんって娘(こ)、良い娘さんやね。アタシは暫く話してみたけどね、アタシを心配して来てくれるなんて、娘さん一人では仲々出来ないことよ」
「そうか・・・、すぐ帰ったんか。それで良かったんや・・・」
安堵した。そして『フウ・・・』と溜息を吐いた。二人の間に何事もなくて良かったのだ。
「ボク、もう帰るけど、お兄はんはどうするんや? 」
一朗に顔を向けて言った。
「ボクかい? 今夜は大阪で泊るんだ。明日の『つばめ』に乗るんだから、ゆっくり出来るんだよ。君は気を付けて帰ったらいい」
「うん、おおきに。さっきはご馳走さんでした。じゃあ、さいなら」
ペコリと頭を下げると、病室から出て行った。
 
  

つづく


時間差でうな丼❣(一応国産の朝開き炭焼きです)
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posted by はくすい at 13:58| Comment(0) | 虹のかなた
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