2020年04月07日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(64)M35宮坂正

その二 悲しみと苦しみ(64)
 
夜遅く母が帰ってきた。もう、午前の零時を廻っている。
「二郎ちゃん、ただいま。遅くなってごめんね。これでも、精一杯早く帰ってきたつもりなんよ。大阪は遠いわねえ」
「お母はん、お帰り。大変やったやろ・・・」
「そんなことないわよ。平気やわ、これぐらい」
母親の顔を見て、『オヤ? 』と気付いた。
 ついこの前、大阪で会った時とは、まるで様子が違うのだ。相当に疲れが溜っているように見えた。勿論、父親の死に直面しているのだし、暗い電球の下だから余計にそう見えるのかも知れない。だけど、顔色は悪いし、表情は固く重苦しい。急に顔のシワが増えたようだ。たった十日足らずの間に、これ程までも変わるものなのだろうか。
「お父さんがねえ、大変悔しがってはるのよ。まだ歩かれへんよってに、お義父(とう)さんの葬式に出られへん。こんな悔しいことはないって・・・」
里子が溜息まじりに言った。その声が妙に沈んでいる。いつものあの快活さは、まるで見えないのだ。
「なにか、悪いことが起こらなければ良いが・・・」
ふと、不安な気持ちになった。

  

つづく


明日の入学式は緊急事態宣言で中止↷飾るはずだったお花を分けて頂きました。
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posted by はくすい at 15:59| Comment(0) | 虹のかなた
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