2020年03月24日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(62)M35宮坂正春

その二 悲しみと苦しみ(62)
 
「よいか、お前たちには技の幅というものがない。もっと色々な技を遣わなければ、試合には勝てんのやぞ。中学生と違うて高校生なんやから、体力もあるし、瞬発力もいっぱいあるんや。それを上手に遣わなアカンのやぞ。分かったか! 」
「ハイッ! 分かりました! 」
剣持先生は多彩な技を披露し、その遣い方を教えてくれた。特に先生の、胴を打つ技は素晴らしいものだった。このような種々の技を駆使できるようになれば、試合で勝てるかも知れないと思った。だがそれ迄は、相当の訓練が必要であろう。
その時、道場の入口から、安田先生があたふたと入って来た。
「山ノ上。山ノ上は居るか! 」
何事か、ひどく慌てている様子である。
「ハイッ。ここに居ります」
練習の手を止め、面を着けたまま安田先生の前へ進み出た。
「おう、山ノ上。今、電話があってな、おじいさんが危篤やと言うて来たんや。早く帰ってやれっ! 」
「えっ! おじいちゃんがっ! 」
と絶句した。やっぱり心配していた、その時が来たのか。
 剣持先生の方へ顔を向けると、先生は、腕組みをしたまま固い表情で『うん』と頷いた。そして顎を右に振って『早く帰ってやれ』と言う合図を送った。その場で礼をして輪から離れた。防具を外すのももどかしく、その場に置いた。真実子が駆け寄り
「アタシが片付けておくから、早く帰ってあげて! 」
その言葉に片手を挙げて会釈し、手早く着替えて足早に道場を出た。 
 
  

つづく

花冷えの二次願書受付です
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posted by はくすい at 14:23| Comment(0) | 虹のかなた
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