2020年01月23日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(52)M35宮坂正春

その二 悲しみと苦しみ(52)
 
ホームには列車が到着しており、客が多数乗り込んでいた。二人は向かい合う席は取れずに、並んで座った。
 一日中歩き回って疲れたのか、真実子は発車間もなくコクリコクリと居眠りを始めた。最初は前後に揺れていたが、やがて左に傾き、二郎の肩に頬を乗せてしまった。眠いのだが、肩が気になって眠れないでいた。その内、二郎も居眠りを始めた。車掌に検札で起こされるまで眠っていた。もうすでに県境を過ぎていた
「ふあーっ、よう眠ったなあ・・・」
大きく欠伸をした。
「ホントね、何も知らなかったわ。気持ちよかった・・・」
真実子も大きく伸びをした。やがて列車は、東和歌山の駅に着いた。
「大阪って、近いようやけど、結構、時間がかかるわねえ。もっと早く行けるような方法は、ないのかしら」
「そうやなあ。和歌山は色んな面で遅れてるんや。特急も、ディーゼルカーも走ってへん。景色はええし、観光地も多いのに、なんでやろなあ」
ジュースを二本買った。もう外は夕闇がせまって来ている。
「話は戻るけどね、ボクは将来、写真機の方面へ進みたいと思うてるんや」
本当の願望を言った。製薬会社と言ったのは、単なる思いつきだったのだ。
「やっぱりねえ・・・。アタシはそう思っていたのよ。お父さんの仕事みたいじゃないかな、ってね」
彼女は少し得意げな顔をした。推測が当たっていたと言いたかったのか。
「ううん。お父はんの仕事は、写真機なんかを売るのが商売や。ボクは、カメラを設計したり、製造(つく)ったりする仕事がしたいのや。ドイツのライカに負けんような、新しいカメラを造って見たいと思うてるんやで」
「そう。アタシね、二郎さんがいつも持ってる写真機を大事にしてるでしょ。それを見て、写真機が好きなんだなァ・・・って思っていたのよ」
「ふうん、ちゃんと見てるんやなあ。そやけど、今日はようけえ写真を撮ったなあ。丸々二本使ったで。明日(あした)、写真屋さんに出しておくよ」
中之島やミナミでの、真実子の朗らかな表情が脳裏に浮かんだ。
 その後、剣道は大学でも続けること。社会人になっても続行し、町道場で子供たちの指導も手掛けたいなどと、熱っぽく語った。真実子は楽しそうに相槌を打ちながら話を聞いた。そして、自分もそれに追従して行きたいという思いにかられたのであった。
 
  

つづく

イカ焼き作ってみました。
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posted by はくすい at 14:26| Comment(0) | 虹のかなた
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