2020年01月16日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(50)M35宮坂正春

その二 悲しみと苦しみ(50)
 
やっと展望台に着き、一度に混雑から解放された。
「あーあ、えらい混みようやったなあ、たまらんわ・・・」
「そうねえ。いっつもこんなのかしら。ちょっと、ひどいわねえ」
真実子は嬉しそうだった。含み笑いをこらえているのか、目が笑っている。
 再び手を取ったがもう平気だった。他(ほか)にも多くのカップルが居た。その連中の殆どが手を繋いでいるのだ。みんなお互い様なのである。
「キヤーッ、高いのねえ・・・。良く見えるワ・・・」
真実子が喚声を挙げた。今日は天気が良いので、遠くまでの見晴らしが良いのだ。ガラス張りの展望台からは、北の方面に大阪城、東には生駒連峰、西は大阪港、そして南は天王寺が見えている。眼下には、地上を歩いている人たちが見えているが、それは、まるで小さな蟻のようだ。
「なあ、よう見えるやろ。ここは地上九十メートルなんやで。大阪城の天守閣よりもずっと高いんやで」
 展望台をゆっくりと見て廻った。
「ねえ。あれはなに? 」
「うん。あれはねえ・・・」
身を寄せる真実子に、あれこれと説明をしながら顔をチラチラと見ていた。彼女はとても楽しそうで、表情が晴れ晴れとしている。 体を弾ませながら、キヤッキヤッと笑うそのあどけない顔が輝いていた。
 お土産に通天閣の小さな模型と、ビリケンさん(お金の神様)の頭部後端突起の人形を買った。この人形を持っていると、本当にお金持ちに成れるのだろうか。とても疑わしい問題だ。
 楽しい時間はアッと言う間に過ぎた。天王寺駅十七時二十一分発の南紀直通列車の時間まで、もうあまり余裕がなかったのだ。
 
  

つづく

今年の恵比寿っさんは暖かった^^
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posted by はくすい at 14:59| Comment(0) | 虹のかなた
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