2019年12月19日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(45)

その二 悲しみと苦しみ(45)
 
和歌山から阪和線をひた走り、大阪市の南端・天王寺駅に着いた。そこから城東線(現在の大阪環状線)に乗り換えて、大阪駅まで行く。
 大阪駅の中央口から南へ出ると、大きなビルディングが立ち並んでいる。その前に路面電車、いわゆるチンチン電車の停留所が多くある。さすがに大阪駅前には多数の交通機関があり、各方面へと連なっている。駅の東側に大きなデパートがあり、その前からトロリーバスの架線も広がっていた。
「さすが大阪ねえ。ビルが多いし、人出も多いわ。ここにも路面電車があるけど、広島にもあるのよ。アタシ、一度乗ったことあるもの」
「へえーっ、そう。広島にもあるの。けど、大阪の方が多いやろ」
「そりゃそうよ。街の大きさが全然違うからね、仕方ないわよ」
大阪駅前から市電に乗り、土佐堀まで行った。ここから父が入院している大学病院までは近いのだ。
 大阪は昔から『八百八橋』と言われるだけあって、運河が縦横に走っており、その為に橋の数も多いのだ。一箇所に、橋が四方に掛ってる『四つ橋』という所もあるほどである。
 大川の橋を渡った所である。いわゆる中之島なのだが、そこに大学病院はあった。歴史があるだろう病院の壁には、蔦の葉が見事に繁っており、重々しい雰囲気に包まれていた。
 三階の、川に面した外科病棟の一室に、父の名前が書かれてあった。ドアを開けて中に入ると、八人部屋の中頃に父のベッドがあった。今日は祭日なので、ベッドの横には里子の姿もあった。

  

つづく

身体に沁みわたる差し入れです^^
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posted by はくすい at 15:47| Comment(0) | 虹のかなた
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