2019年11月19日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(39)

その二 悲しみと苦しみ(39)
 

 やがて校門が見えてきた。道場に辿り着いた六人は、グッタリとしてゼーゼーと荒い息を吐いていた。
「おお、やっと帰って来たか。大分遅かったやないか。たった三キロしかないのに、一時間近くもかかっとるぞ。歩くのと同じくらいのスピードしか出とらん。情けない連中や。しょうがない、今から十分間休憩をやる。十分経(た)ったら基本稽古をやるから、面を着けて整列しておけ、分かったな! 」
先生はそう言い残すと、道場から出て行った。みんなは驚いた。僅か十分間だけの休憩なのだ。仕方なく、思い思いに汗を拭ったり息を整えたりした。そして防具を用意し、体に着けた。
 十分後、時間キッカリに先生は道場に戻って来た。その時、すでにみんなは面を着け、相手を作って待っていた。
「よし、やるか。切り返し、始めッ! 」
号令と共に稽古が始まった。二郎をリーダーとして先頭に立たせ、他の五人が右へ交互に入れ替わる、廻り稽古なのである。今日、先生は防具を持参していないので、号令だけを掛けたのである。それは、部員各人がどれほどの基本が出来ているかを見る、良いチャンスだったのだ。
 廻り稽古は約一時間続いた。基本稽古といえども、続けると恐ろしく体力を消耗する。それに偶数人数なので、休める間がないのだ。二郎、真実子と苅川はどうにか耐えたが、あとの不田、井仲、池上はそうではなかった。
 真っ先に恵が倒れ込んだ。胸が苦しくて息が詰まり、起き上がれなくなった。美紀が駆け寄り、面を外した。美紀に抱えられ、肩でゼーゼーと息を吐いている。真っ赤な顔と、流れる汗が痛々しい。続いて不田と井仲が、ヘナヘナと床に座り込んでしまった。
「なんや、もうアカンのか。根性のない奴らや。ようし、整列! 」
固い表情を崩さずに、号令を掛けた。
「姿勢を正して・・・、面取れっ! 」
「オウッ! 」
面を取った。みんな顔が真っ赤で、頭から湯気が立っている。
「今日は初めての練習やったから、みんなキツかったと思う。これぐらいの練習が普通となった時、お前たちは強くなっているやろ。それまで、俺にしっかりと付いて来い。分かったな! 」
「ハイッ! 」
先生と対面して礼の後、練習は終わり解散となった。

  

つづく

学校横の公園もすっかり色づいて・・・
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posted by はくすい at 15:30| Comment(0) | 虹のかなた
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