2019年11月05日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(35)

その二 悲しみと苦しみ(35)
 
三日後。入試の為部活は休みである。午前中に洗濯と風呂掃除を終えた。伯母から洗濯物を出すように言われていたが、決してお願いはしていなかった。食事以外は自分でやろうと、実行しているのだ。面倒な事や汚れるのを嫌がっては、大阪に居る両親に申し訳ないと感じていたのだ。
 昼前に一通の手紙が届いた。当然、奈々子からだった。
『前略、ごめんなさい。お手紙拝見しました。なにも知らない私は、貴男にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。ごめんなさいね。
 今、貴男は大変なご苦労をされているのですね。お父様の交通事故というのは、どのようなものなでしょうか。両足の骨折とお聞きましたが、生命には別状はないのでしょうか? とても心配しています。また、おじいさまの病気も大変なのでしょう? 
 そんな苦労の中にありながら、期末試験や剣道の練習に頑張ってらっしゃる貴男は、とても立派だと思います。私だったら、到底できないでしょう。
 私はそんな貴男を誇りに感じています。どうか苦労に負けないで、ガンバッてください。遠い所からですが、私は貴男にエールを送ります。もし、私になにか出来ることがあれば、どうぞ申しつけてください。貴男から言って頂ければ、私はどんなことでもさせて頂きます。
 まだまだ寒い日が続きます。どうぞお身体を大切になさってください。そしてまた、元気なお顔を見せてくださいますよう、お願いします。 早々
                     奈々子より二郎さんへ』
普通の文章を並べたような文面だが、奈々子の心情が溢れていた。だが、彼にとってはこの方がありがたいのだ。変に同情されたり、押し付けがましい行動などを取られる方が、余程迷惑になるのだ。
『おおきに、長岡さん』低くつぶやいた。彼女の性格から考えてこの手紙を書くのに、どれほど自分の感情を押さえ込んだであろうか。
『返事は出さなくても良いだろう』そう思った。

  

つづく


夜は温かい手打ちの釜揚げ饂飩で❣
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posted by はくすい at 13:23| Comment(0) | 虹のかなた
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