2019年09月24日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(30)

その二 悲しみと苦しみ(30)
 

 日曜日の夕方、病院へ祖父の見舞いに行った。病室に入ると、祖父はベッドの上に起きあがっており、横に付いている由美と会話していた。
「こんにちは、おじいちゃん。気分はどうですか? 」
声を掛けると、祖父はゆっくりと向き直った。目の焦点が定まらないのか、暫くして気が付いた。そして重い口を開いた。
「おお、二郎か。心配かけるのう・・・。儂は、まだ生きておるぞい」低く、か細い声で呟くように言った。先日より赤味が差した顔は、まだ生命の灯が消える様子はなさそうに見えた。だから、少し安心をした。
「この頃ね、おじいちゃん、食欲が出てね、なんでも食べはるし、それが栄養になって身についてきてるのよ」
由美が祖父の背中をさすりながら言った。
「良かったねえ、おじいちゃん。春になったら元気になれるよ。これから気候が良くなるから、退院出来るかも知れんね」
祖父を元気付けるように言った。
「儂はまだ、せんならん事があるんじゃ。お前の母親も苦労しておるみたいやし、儂がもっと助けてやらんとアカンのじゃ・・・」
自分の言葉の意味が理解が出来ているのか、定かではないようだ。
「あんまり喋ると疲れるからねえ。二郎ちゃん、先に帰って頂戴。アタシも、もう帰るから」
由美に促されて帰ることにした。病院の外へ出ると、バラ色に輝くすばらしい夕焼けなので、清々しい気持ちになった。
 父や祖父の病状の回復。又、自分の将来に希望の兆しが見えたような、そんな気がして嬉しくなった。春は近く、そこまでやって来ているのだ。
  

つづく


久しぶりベーグルサンド作りました^^(ポークケチャップソーセージ、エッグ)
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posted by はくすい at 14:23| Comment(0) | 虹のかなた
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