2019年05月30日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(20)

その二 悲しみと苦しみ(20)
 

「こんばんは! 」
挨拶するのももどかしく、店の奥へ行った。その声を聞いて恵美子が飛び出して来た。今にも泣き出しそうな顔である。
「お兄いやん、大変や! おいやんが事故に遭うたんやて、お母はんが言うとったで。それでおばやんが大阪へ行ったんやて、心配やわあ・・・」
「伯母やん、居たはる? 」
「うん。あるよ」
すぐに恵美子の母が出てきた。そして事故のあらましを説明をした。
 それによると父は、横断歩道を青信号で渡っていたのに、赤信号を無視した小型トラックが突っこんで来て、父と横にいた男に当たったのだ。幸にも横の男が緩衝となって両足の骨折だけで済み、命には別状はないが、横の男は意識不明の重体らしい。
「良かった・・・。そんなら案外、早よう退院できるかも知れへんなあ」
ホッと安心して、胸を撫でおろした。
「二郎ちゃん、ご飯食べるでしょ。用意が出来てるわよ」
安心したとたん、お腹がグーッと鳴った。
「お兄いやん、早う食べよらよ」
恵美子も安心したのか、屈託のない顔で言った。
「うん、おおきに・・・」
食事を始めると、すぐに気付いた。
「あれっ? おじいちゃん、どうしたん? どこかへ行ってるの? 」
いつも元気な祖父の顔が見えないのだ。
「うん? ああ、おじいちゃんね。お昼過ぎからシンドイ言いはって、離れで寝てはるんよ。大した事はないと思うけどね」
「ふうん。病気と違うんやろか」
「おじいちゃんもトシやからね、疲れてはるのよ。それより二郎ちゃん、何時に学校へ行くの? 朝ご飯、用意するから時間を教えて頂戴」
「うん、おおきに。七時に家を出たらええねん」
「そう。そしたら、六時半に用意をしといたらええのね」
「すんません。ちゃんと時間を守りますよってに、お願いします」
素直にお願いした。やはり親戚とは、ありがたいものだ。
 だが、一抹の不安があった。母はいつまで大阪に居るのだろうか。今日、行って初めて状態が分かったのだから、その後は何も決まっていないのだろう。長期の入院になる筈だが、その用意をして行ったのだろうか。
「お兄いやん、遊ぼうよら」
恵美子がせがんだが、都合があると謝って祖父宅を出た。
 
  

つづく

私の好きな、鉄仙です❣(花弁が厚くて食べれそう〜(^^))
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posted by はくすい at 15:17| Comment(0) | 虹のかなた
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