2019年04月16日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(11)

その二 悲しみと苦しみ(11)
 

二回戦目。苅川は二本負けとなった。真実子は抜き胴の一本勝ちとなり、あとの三人は引き分けた。一勝一敗三引分けだが、取得本数が二本対一本なので、敗者となった。先程の喜びは何処へやら、一度に意気消沈となった。
「そやから言うたでしょう。あんなまぐれ勝ちなんかで、喜び過ぎたらアカンって。それやのにみんな、聞いてくれへんかったやないの。浮わついた気持ちで、勝てる訳がないでしょっ! 」
真実子が叱責した。彼女は勝ったのだから、誰も反論出来ない。
「まあまあ、そんなに怒らんといて頂戴。みんなは自分らが悪いのは良う分かってるのよ。そやから、もう許してやって」
恵がなだめ役を買って出た。
「そうよ。曲がりなりにも一回戦は勝てたんやから、目標は達成したんよ。ねえ、今日の処はこれでええやんか」
美紀も中に入ってきた。
「ゴメンな、草山さん。たった一回勝ったぐらいで、オレが浮かれ過ぎたんや。悪いのはオレ一人や、ホンマにゴメン」
神妙な表情で、苅川が頭を下げた。
「いや、そやない。全員の責任や。もっと真剣に試合せなアカンのや」
石坂が述懐するように低い声で言った。
「しょうがないわねえ。これから気を付けましょうねっ! 」
彼女は仕方なく折れた。文句を言った処で、何も進展する筈がないのだ。
「なあみんな、せっかく一回戦に勝てたんやから、来月のオレの誕生日にウチへ来てくれよ。みんなでパーッとやろうや。どうや? 」
苅川が気を取り直し、声を弾ませて言った。
「そうや、忘れてた。みんなで行こうや、楽しいで」
その声に気嫌が直ったのか、真実子も素直に頷いた。
「そうね、気晴らしになるわね。みんなで行こうよ、ね」
気まずい雰囲気が少し和らいだ。どうにか一勝したので、片山美紀に対してのお礼が出来たのであった。


  

つづく


家の前の桜がやっと満開になりました黄ハート
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posted by はくすい at 11:41| Comment(0) | 虹のかなた
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