2019年03月28日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載第2章始まる!その二 悲しみと苦しみ(6)

その二 悲しみと苦しみ(6)
 
朝、目覚めた。いつもより少し遅かった。こめかみのあたりが妙にズキズキと痛い。その上に、目の前にあるもの全てが、二重に浮いているように見えるのだ。起き上っても、痛みは治らなかった。
『なんで、頭が痛いんやろう? 』考えてみても、その原因は分からない。さては昨夜、真実子の父親に飲まされたせいではないか・・・と思った。
 今日は三日であり、父が大阪へ発つ日である。
「お母はん。お父はんが大阪へ行くんやな・・・」
母に言った。心なしか、里子の表情は少し淋し気に見えた。
「そうよ。また、暫くのお別れやね。お父さんはアタシが駅まで送って行くからね。二郎ちゃんはお家(うち)に居てね」
「そうやなあ。その方が良いかも知れへんなあ・・・」
母の心情を思いやった。そうするうちに父親が起きてきた。右手でこめかみを押さえている。
「ちょっと昨日は飲み過ぎたかなあ・・・・。頭が痛いよ」
同じようなことを言っている。
「まあまあ、お父さん。大丈夫ですか? 」
「うん、大丈夫や。心配することあれへんで、お昼前にはスッキリするさ。正月の間はよう休んだから、さあ、あしたからまた頑張ろう」
大きく欠伸(あくび)びをしながら、武二郎が言った。
「なあ二郎、お母さんのことはお前に頼んでおくぞ。儂は大阪で頑張るし、今度はもっと早く帰って来るからな・・・。お前は勉強と剣道をしっかりするんやぞ。分かってるな・・・」
朝食を摂りながら、父は言った。
「ウン、ボクも頑張るで。今年はしっかりと練習をして、強い剣道部にしてやるんや。草山さんも居るから、大丈夫や」
祖父宅へ挨拶に行ったあと
「二郎、じゃあな。頑張るんやぞ」
バスに乗る時、手を挙げて言った。そして父は、大阪へ発った。


  

つづく


校門の桜もちらほらと・・・
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posted by はくすい at 15:18| Comment(0) | 虹のかなた
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