2019年02月05日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ(96)

その一 異郷の空へ(96)
 
駅に着いたが、次の汽車迄には時間があった。待合室には誰も居ず、彼らだけで寒々しい空間であった。
「悔しい・・・」
そう思う気持ちが胸の中に溢れた。みんなは黙ってベンチに座っていた。
不田も井仲も顔を曇らせている。練習試合とは言え、あの惨敗ではどんな言い訳も通らない。その上に、古山先生の言葉が重くのしかかっていた。
「畜生・・・」
苅川が呻き、自分の顔を叩くとポロポロと涙を流し出した。
「なんで、勝たれへんのやろ・・・」
「ワイら、あれだけ練習したのになぁ・・・」
「そうやで。オレらは、精一杯の努力はしたんや」
それぞれに悔しさを口にした。押し黙った雰囲気が漂い、廻りが暗くなったように感じた。
「仕方ないやんか、もう一度やり直すのよ。それしかないのよ」
真美子が励ますように言った。だが、重苦しい空気は晴れなかった。
「なあみんな、次の為に頑張ろうや。来年になったら、ええことが有るかも知れへんやろ」
精一杯の言葉を言って見た。けれど、誰の顔も曇ったままである。
「こんなん、いややわ! あの先生にボロクソに言われて、なんで黙ってなアカンのよ! 山ノ上さん、ナンとかしてよ! 」
恵が悲痛な声を挙げた。だけど、返す言葉が見つからなかった。
「けど、あの娘(こ)はヘンやわ、おかしいわよ」
奈々子を指して、恵が文句を言った。その言葉にドキッとした。
「帰ろうや・・・」
「うん・・・」
失意のまま、汽車に乗った。

  

つづく


只今、わが家はタイ料理ブーム^^
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posted by はくすい at 14:42| Comment(0) | 虹のかなた
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