2018年11月08日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ(77)

その一 異郷の空へ(77)
 

あくる朝、家を出た処で草山真実子と出会った。彼女は真新しい海山高校の制服を着ていた。待ち合わせをしたのではないが、隣同士でもあるし、同じ時刻の汽車に乗るのだから、出会うのは当然であると言えよう。真実子が防具袋と竹刀を持っていたので、
「ボクが、持ってあげるよ」
と言い、遠慮する真実子から荷物を無理矢理に受け取った。
 汽車に乗り込むと、昨日、ひやかした苅川が先客として乗っていて、目ざとく二人を見つけた。二郎を羨やんでいるような、それでいて軽蔑するような、ヘンな目つきを向けている。口をモグモグさせているのは、独り言を言っている様子なのだ。駅から学校までの道中、苅川は二人の後を、まるで刑事が犯人を尾行しているかのように、ピッタリと距離を保って付いてきた。
「山ノ上さん。アタシの荷物、重いでしょう? アタシが持つわよ」
「ええよ、大丈夫や。こんなん、平気なモンや」
そう言いながらも、付いてくる苅川が気になった。
『ホンマに、ウサン臭い奴や』またもや腹立たしくなった。だが、目的地は一緒なのだから、文句の付けようがない。けれども多分に気分が悪いのだ。この同級の苅川という男が、益々キライになってきた。
 

  

つづく


芸術の秋も撮ってみました^^
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posted by はくすい at 15:58| Comment(0) | 虹のかなた
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