2018年07月26日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ(55)

その一 異郷の空へ(55)
 

「山ノ上さん。剣道部員を募集してるって聞いたけど、本当やの?」
休憩時間に、池上恵が真面目な表情で尋ねて来た。
「うん、ホンマやで。けど、まだだーれも希望者があれへんのや。誰か、入りたいと言うのん、居れへんやろか」
ビラを貼ってから、もう五日も過つのに、誰一人として入部希望者が来ないのだ。だから、少しあせっていた。
「剣道って、男子ばっかりやけど、女がやったらアカンのやろか・・・」
思い掛けない恵の言葉に驚いた。だが、すぐに答えた。
「そんな事あれへんよ。大阪なんかでは女子の数が増えているという話や。今から始めても充分いけるよ。池上さん、入ってくれるんか? 」
今は誰でも良い、とにかく部員が欲しいのだ。
「うん。ウチ、今、なんにもやってへんし、山ノ上さんの好きな剣道って、やってみたいと思うてるんよ」
「それはありがたい。ボクが責任を持って、基本から教えるよ」
「そうお? そんなら、お願いするわ」
ガリ版で刷った入部届けに名前を書かせた。栄えある(?)入部第一号が池上恵なのである。
 そうだ。転校してきた日、自分の襟元を無理矢理掴んだ、あのグレン隊の二人も誘ってみよう。あんな悪さをする程エネルギーが余っているのなら、剣道で汗を流せば良いのだ。このまま、野放しにしておく手は無い。そう思って、不田月男・井仲人也に声を掛けるチャンスを待った。

  

つづく


 石切神社夏越大祓い神事 (A31津田義貞氏の撮影)
石切神社 夏越大祓い 神事 (2).jpg
posted by はくすい at 13:06| Comment(0) | 虹のかなた
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