2018年06月28日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ㊼

その一 異郷の空へ㊼
 

午後の練習が終ったのは、午後四時過ぎであった。大汗を流した部員たちは喉が渇き、口の中がカラカラに干上がっていた。昨日は無かったが、一人が清潔なバケツを持って来た。もう一人が、大きな氷の塊(多分一貫目の物)を持ってきて、そのバケツに入れた。そしてそこへ、三人目が大きなヤカンで水をたっぷりと注いだ。次にその中へ、最近売り出されて評判の『ジュースの素』を入れてかき混ぜた。つまり即席の冷たいジュースの完成だ。
 マネージャーと言った女生徒が、ジュースをコップに入れ、先ず古山先生に勧めた。その後は、交代で柄杓で飲むのだ。勿論、三年生が先で一年生は最後である。やっと飲める頃には氷が溶けて、味が大分薄くなっていた。
 夏の日盛りに練習した部員たちは、この即席ジュースの旨さに、喉をゴロゴロと鳴らしたのである。
 ゴクンと飲んだとたん、食道を胃までずーっと下って行く冷たい感触が、たまらない快感であった。たっぷり飲むと、胃がプーッと膨らむのが良く分かった。腹を左右に振るとチャポチャポと、液体が音を立てた。
 急激に冷たいものを飲むと、頭のテッペンがキリキリと音を立てて痛み出すのだ。それはとてつもない痛みである。これは初体験であった。
 みんなは、コブシで自分の頭を叩いている。コメカミのあたりをゲンコツで打つと、少しは楽になるのだ。みんなに習って叩いてみた。あちらでゴンゴン、こちらでゴンゴン、顧問の先生まで叩いている。その風景は、いかにも不思議で、いかにもおかしいのであった。


  

つづくIMG_4756.JPG



posted by はくすい at 14:35| Comment(0) | 虹のかなた
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