2018年03月29日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ㉕

その一 異郷の空へ㉕
 
自宅の庭での竹刀の素振りは、日課として欠かさないけれど、一日も早く剣道の稽古がしたい。思いっきり打ち込んで、汗を流したい・・・。そう思った。剣道の才能があると、自信を持っているだけに悔しかった。
 それなれば、と考えた。そうだ、剣道部を創れば良いのだ。自分の手で、自分が発起人となって創ろう。部員を募集しよう。そう決心した。
「先生! 剣道部を創部したいと思うんですけど、どうすればええんでしょうか! 教えてください! 」
職員室を尋ね、激しく燃える心を持って、安田先生に相談を持ちかけた。
「そうか、剣道部を創るか。それはええけど、創部には問題は多いぞ!
お前がその気で頑張るんやったら、オレは協力は惜しまへんぞ! 」
力強い先生の言葉が嬉しかった。
 創部についての困難は予想されていた。物事は、容易に行く筈がないのである。この後先生は簡単に、創部についての色々と説明をしてくれたのであった。けれど、部員はおろか、練習する場所も、全く未知数なのである。

あくる日の放課後。もう一度、校内をくまなく歩いてみた。剣道の練習が出来る広さの場所が無いだろうか。教室の半分もあれば良いのだ。最悪、校舎の中庭でもかまわない、と思った。
 通路を通っていると、時折、運動場や体育館から色々な競技のかけ声が聞こえて来る。今は何も出来ない自分が悔しかった。だが、『必ずやってやるのだ! 』と自分の胸に闘志を燃やした。
 校舎の北の外れである、裏門に近い隅の方であった。得体の知れない建物があった。木造で大きく、相当に古そうだ。それに今は全く使用されていない様子である。窓のガラスはあちこちと割れているし、正面中央の扉には分厚い板が打ち付けられてある。その上、大きな南京錠も掛けられてあった。正面の階段を上り、恐る恐る窓から覗いて見た。すると、その中は案外明るくて、相当に広そうに見えた。何か荷物のような物が雑然と置いてあるようだ。いったい、この建物は何なんだろう。
 その足で職員室へ行き、安田先生にその建物の事を問い合わせた。先生は、その建物は以前、雨天体操場だった。戦後、新体育館が完成したので、今は物置同然である。そう言いながらハッと気付いたように膝を手で叩き
「そうか! 山ノ上、お前はエエモンを見つけたなあ! 」
と嬉しい事を言った。
『よし、もっと調べてみよう』そう決心したのだった。
 その後、何度も元雨天体操場を偵察に行った。成る程、安田先生が言った様に、うまく行くと練習が出来る場所が確保出来そうだ。胸はワクワクと躍った。だが、期末考査が迫っているのだ。今は勉強をしなければ・・・。
  

つづく


山菜の王様タラの芽を天麩羅で(ライム塩で頂きます!)
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posted by はくすい at 12:47| Comment(0) | 虹のかなた
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