2021年12月23日

M35宮坂正春氏遺作 青春小説『虹のかなたへ』連載第2章 その二 悲しみと苦しみ(105)

その二 悲しみと苦しみ(105)
 
その日、午前中の練習が終った時、
「ねえ、草山さん。山ノ上さん、今頃どうしてるやろか。練習はしばらく出来へんのやろえねえ・・・」
防具を外しながら、恵が真実子に話かけた。
「そうよねえ。今日は家でジッとしていると思うけど、多分、練習出来ない分、イライラしていると思うわよ」
「あんな怪我をしたら、痛いし、辛いやろねえ・・・」
「うん。治るまで一ヶ月程掛るって言ってたから、その間、練習は出来ないし、十月の昇段試験に差し支えるわねえ」
「そうか・・・。昇段試験かァ・・・。山ノ上さん、気の毒で仕方ないわ。本当に辛いやろうなあ」
「あんな人やからねえ。傷が痛むことより、練習が出来ないことの方が、よっぽど辛いと思うわよ。そやから、練習したい一心で酷(ひど)い苦労をして、この道場を整理したのよ。なにしろ、剣道の申し子みたいなや人やもんね」
「その分、アタシたちが頑張らなアカンのやねえ・・・」
「そうよ。その通りよ」
恵も真実子も二郎を想いやっていた。

  

つづく


咲きました〜♡
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posted by はくすい at 12:37| Comment(0) | 虹のかなた