2021年06月10日

M35宮坂正春氏遺作 青春小説『虹のかなたへ』連載第2章 その二 悲しみと苦しみ(102)

その二 悲しみと苦しみ(102)
 
五日後、合宿の初日である。場所は学校内で行い稽古は海山道場である。食事は学生食堂の小母さんたちにお願いをして、作って貰うことになった。風呂は銭湯へ揃って行き、お互いの背中を流し合うのだ。寝起きは柔道場を借りた。布団は業者の物を利用した。女子は教員の宿直室を使わせて貰い、先生は用務員室であった。
 午前の部は、朝六時起床。ラジオ体操の後、七時より朝食。八時より十時三十分まで練習。十二時昼食。午後の部は、一時三十分より三時三十分まで練習。五時より六時まで練習。六時三十分頃より入浴。七時夕食。十時消灯という計画である。女子部員の参加を除けば、出島商業での合宿が『参考』とは名ばかりで、日程その他、そのままであった。
 
 初日から剣持先生と山崎田先生を加えて、順調にメニューを消化した。その内容は両先生により考案された、強力で激しいものであった。
 午後三時半の練習終了時。昨年に憶えておいた、バケツの即席ジュースを作ってみた。みんなには殊の外好評だった。
 やがて、夕方の六時になった。練習の終了時間である。
『今日の練習は終りや。みんなで風呂に行こうか』と安心した。すると緊張が解け、全身から力が抜けた。その時、ふいにドヤドヤと数人の男たちが道場に入ってきた。みんな防具を持っている。
『今頃、なんだろう』と不審に思い、その男たちをみてアッと驚いた。それは吉雪先輩を先頭とする五人のOBであった。剣持先生より、校内で合宿をするとの連絡を受けたので、仕事帰りに練習に来たという訳である。これでは練習を終了するどころではない。先輩方を相手にもう一度、これから始めなくてはならないのだ。
「えらいこっちゃ! もういっぺん、練習せなあかんようになったで」
苅川が半ばあきらめ顔で、呆然と言った。
「なんやて! もう終りやと思うてたのに、まだやらなあかんのか・・・。まいったなあ・・・」
「ホンマや、しょうがないなあ・・・。先輩やから、放っとかれへんしなあ・・・。なあ、やろうや」
「これも合宿というものの宿命や。やらなしょうがないやんか」
「そうよ。折角、先輩らが来てくれはったんやから、文句を言わんと、頑張ってやりましょうよ」
口々に不平らしきものを言いながらも、再び練習を始めるのであった。
 一日に四回もの練習をこなすと、部員たちはヘトヘトになった。でも、練習をやり切ったあとはスッキリとして、気持ちが良かった。
 練習が伸びたお陰で、食事が一時間以上も遅くなった。それは仕方がないことだが、笑顔で用意をしてくれた小母さんたちに申し訳なかった。
 先輩たちは、日毎に入れ替わりとなり、毎日何人かが練習に来た。彼らは練習の後、先生たちと酒を酌み交わし、楽しんでいる様子であった。
 
  

つづく



新1年生を迎えてのクラブ活動も活発になってきました^^
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風の便り 『 C42田伏勉 氏 の新聞連載 』

産経新聞にてシリーズ掲載『 65才からのクレパス画 』第3弾!


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posted by はくすい at 13:55| Comment(0) | 風の便り

岡山個展風景 42田伏 勉 氏

クレパス画家 田伏 勉氏(C42卒)から個展会場のご様子を頂きました。
今月27(日)まで開催されていますので近く方は是非足を運んで下さい。



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