2018年12月18日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ(86)

その一 異郷の空へ(86)
 

駅で切符を買おうとした時、目の中にひょっこりと苅川の顔が飛び込んで来た。あの、いけ好かない奴である。どうして今頃ここに居るのだろうか。
「アレッ! 苅川君やないか。ナンでここに居るんや? 」
怪訝な表情で尋ねると、苅川は少々オドオドとしながら
「ウ、ウン。応援をしょうと思うてな、体育館へ行ったんやけど・・・。さっきは残念やったな。相手が悪かったんや」
と言った。本当にこんな遠い処まで、わざわざと足を運んで、試合を見に来たのだろうか。
「えっ! そうか・・・。見に来てくれたんか。それはスマンかったな」
「あのな、オレ・・・。山ノ上君に、ちょっと相談があるんやけど・・・」
『おやっ? いつもの態度とは少し違うぞ』と思った。早くしないと汽車の時間が迫っているのだ。
「あの・・・。実はオレ、剣道をやりたいと思うてるんや。それで、剣道部に入れて貰いたいと思うてな・・・。どうやろか? 」
苅川の突然の言葉に、不快感を覚えてムッとした。今迄の、通学の途中に見せた彼の行動に、少なからず腹を立てていたのだ。
 こんな事を言い出したのは、何か下心があるのではないか。転校生である真実子に接近したい欲望だけでは無いのだろうか。少し顔を曇らせた。それを見て取った苅川は、慌てて言った。
「オレも、中学時代に剣道をやってたんや。まだ一級やけど、ホンマやで。アンタが学校に剣道部を創った時に、すぐ入ったら良かったんやけど、どんなもんか分からへんかったから様子を見てたんや。けど、みんなが試合に出たのを見たら、やっぱりオレも、もういっぺんやりたいと思うたんや。頼むから、オレを剣道部に入れてくれへんか? 」
真剣な表情で話す苅川の顔を見ると、以前の、あの暗くていやらしい顔付きが消えて、以外とスッキリした表情になっている。
『これじゃあ、断る訳にはいかへんなあ。今は、一人でも多くの部員が欲しいのやから、入って貰おうか』と考えた。周りの部員たちの顔を見回すと、全員が『ウン、ウン』と縦に頷いているように思えた。
「ええよ。剣道部に入って貰ってもかめへんよ。ボクから安田先生に報告しておくよ。そのかわり、サボらんとちゃんと練習してくれよ。な」
「ウン、おおきに。オレ、頑張るで・・・」
苅川純夫はニンマリと笑って、大きく息をした。事の成り行きを見守っていた三人の女生徒は、手を叩いて喜んだ。
「苅川さん! 一緒にやろうねっ! 」
池上恵が苅川の背中を、ポンポンと手で打って激励した。苅川は
「イタイッ! コラッ、池上さん、やめてくれっ! こら、叶わんわ! 」
と顔をしかめて騒いでみせた。みんなは、先程の重苦しい空気を吹き飛ばすかのように笑った。 
 たった一試合だけの、みじめな惨敗だったが、地区大会に参加して良かった。そして、いくつもの収穫を得た。それが良かったのだと、しみじみと思った。苅川を新たに加えた海山高校の八人は、汽車に乗り帰途についた。もう、奈々子の件は、頭の中から消えていた。


  

つづく



IMG_0426.JPG
posted by はくすい at 16:04| Comment(0) | 虹のかなた

気まま旅『北海道編 その六』M38泉谷忠成


襟裳岬では心に残る忘れられない思い出がありました。
私は一人旅、岬を眺めていると、近くに東京から来たという純情可憐そのものの美しい女性の二人旅、よくある光景ですが!?
岬の夕暮れを眺めながら自然と話が進みました。彼女たちは高校を卒業後、婦人警官に就職先が決まって高校生活最後の思い出旅行との事でした。同じ民宿に泊まっていたのですが、彼女たちは風呂上り、長い洗い髪に櫛を入れながら、私の部屋にトランプをもってきて一緒にしょうとやってきたのです。
純情そのものだった私は一瞬どぎまぎ、トランプ(ポーカー)だけして結局名前も住所も聞かずに別れてしまいました。携帯がある今では、当然TELメールのやり取りに発展して、ロマンスに進んでいったに違いないと思います。
残念なのか?それでよかったのか?結局勇気がなかったのですね?今では想像できない純情そのものの学生でした。




     当時の襟裳岬
当時の襟裳岬.jpg

posted by はくすい at 15:37| Comment(0) | 旅だより

F科 ファッション ショー

クリスマスも近づき、町はイルミネーションぴかぴか(新しい)に色付いています。
ここ数年、肉服のお蔭で寒さにめっぽう強くなった管理人は超元気ですもうやだ〜(悲しい顔)
年末に向けて素敵なお知らせをお一つexclamation×2

12/22(土)我が泉工ファッション科がファッションショーを開催致します。
会場は『リバティー大阪』(大阪人権博物館)
12:30開場の13:00開演です。
お席は予約・チケット制です。(当日券はございません)
チケットがいる方は前日までに泉尾工業高校 ファッション科 星野先生までご連絡下さい。





ファッション科.JPG
posted by はくすい at 15:31| Comment(0) | お知らせ