2018年09月11日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ(62)

その一 異郷の空へ(62)
 

 九月第四日曜日。早目の昼食を済ませて出発した。白のカッターシャツに黒のズボン。それに学生帽という、変わり栄えのない通学姿であった。
 実は、それしか無いのだ。夏の日差しは強くて、帽子の下の額は汗でベットリとしている。ハンカチで拭っても、次から次へと湧いてくるのだ。
予定より一本早い汽車に乗れたので、東和歌山駅には昼の一時過ぎに着いてしまった。駅の外へ出たが暑苦しいだけなので、構内の待合室で待つことにした。ここには横長のベンチ椅子があるし、勿論日陰である。天井には回転式の扇風機が風を送って来るので、相応に涼しい。
 奈々子とは改札口で待ち合わせとなっている。約束の時間になれば、そこまで行けば良いのだ。
 胸がドキドキとしていた。暑いからではない。女の子と待ち合せをするなんて初めての体験だし、ましてや相手はあのニガ手(?)な長岡奈々子である。彼女の顔をまっすぐ見て、素直に喋れるだろうか。大きな疑問だ。
『ボクは、剣道初段の日本男子や。負けへんで! 』と自分自身の心に強く言い聞かせた。
 駅の構内に目をやると、そこには活気が溢れていた。蒸気機関車や電気機関車が忙(せわ)しなく行き交い、その間を縫うように近郊電車が発着している。列車の扉が開けば、沢山の人々が乗り降りするのだ。
 暫く眺めていると眠くなってきた。腕時計を見ると一時二十分だ。まだ四十分程も待つのだ。ベンチに座り、背もたれに寄り掛かっていると、ウトウトと眠りに落ちて行った。
 どれくらい時間が経っただろうか、ふと何か、人の気配を感じたのでソッと目を開けてみた。まだ焦点が定まらず、呆(ぼ)やけた視野の中に、突然大きな顔が浮かび上がった。それは奈々子であった。
 彼女は駅に着いた時、すぐに改札口へ向かったが、そこに二郎の姿はなかった。どうしたのかと思い、駅中を歩き廻った。待合室を覗いて見て、安らかに船を漕いでいる彼の姿を見つけたのだ。
 待合室に入り、静かに二郎の前に立った。腰をかがめ、覗き込むように彼の顔に自分の顔を近づけたのだった。

  

つづく



学校の横の公園、木々が倒れジャングルになっています
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posted by はくすい at 16:33| Comment(0) | 虹のかなた

白水会会報は届きましたか?

豪雨の後は猛烈な酷暑に大型台風、そして北海道での地震・・・
自然災害の多い日本ですが、近年の災害は稀にみるものです。
会員の皆さん台風での被害はございませんでしたか?管理人の自宅は幸い停電も断水なく、壊れた物もありませんでしたが、学校の停電が9日(木)も続き休校、冷凍庫の中身を掃除して帰ってきました。

皆さんのお手元には白水会会報が届いていると思います。8/25(土)封緘作業の様子を少しお伝えしますネ
暑い中、お手伝いいて下さった18名の方です

S30西村圭一・S30巽昭三・S40田仲稔
D38山本健一・D47勝浦典子
C38谷口猛
A28筒井信・A30市山輝夫・A43朝倉則男
A平7矢田晴良
M45澤昭二・M46植西照吉・M48稲地幸雄
E41福永哲哉・E41山口實・E42戸田省吾
E56山本幸治


 

封緘作業も3年目、慣れたもので11時半には終わりました
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今年は1338通です。
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大変お疲れ様でした黄ハート

posted by はくすい at 16:24| Comment(0) | ご報告