2018年06月26日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ㊻

その一 異郷の空へ㊻
 

「おはようございます」
「おはよう」
交互に挨拶を交しながら、六時二十分に道場に集合した。点呼のあと、ラジオ体操で体をほぐした。それが終ると並んで食堂へ行き、朝食を摂った。
 食べながら考えた。昨日、この学校へ来て合宿に参加した。その時見た道場に、女生徒の姿があっただろうか。緊張の余り、目に映っていたのは大柄な先生と部員たち、つまり、男ばかりであった。
 朝の練習は九時開始である。その時間までの間、着替える者、談笑している者、本を読んでいる者と様々であった。
 先程の白い女生徒は、後から来た女生徒たち数人で、多勢の輪の中に入っていた。そして、話題の中心となっているのか、キャッ、キャッと楽しそうな笑い声が聞こえて来た。 
 そんな中に入らずに一人で部室に入り、沢山残ある部の日誌を見ていた。中には、新聞の切り抜きが貼ってあるページがあった。昨年の全国大会の県予選では、ベスト四という記録さえもあった。羨ましい限りである。
 歴史のあるクラブとは、こうした事を普通の記録として残しておけるのである。それが素晴らしいと思った。精一杯頑張って活躍すれば、その結果は後から付いて来るという、立派な証拠なのである。
 昭和二十一年と書いたのがあった。置かれている中で最古参である。綴じ糸はすり切れており、表紙の厚紙は文字も読みづらい。インクが消えかけになっているのだ。その日誌が現役の時は戦後間もなくで、学校も今の新制の高等学校ではなく旧制の中学校だった。
 腫れ物に触れるように、ページをめくった。中程の見出しを見て驚いた。なんと、『海山中学に惜敗』と書かれてあるのだ。『惜敗』と言う事は、この出島商業に昔の海山高校が勝った、のである。記事によると、当時、南紀地区大会と言う試合があった。一回戦目は見事に大勝したが、二回戦目で当時の海山中学と対戦となった。そして善戦するも、敗れてしまったのだった。
 これは正しく、大ニュースであった。昔の海山高校(中学)は強かったのだ。その試合の後を知りたいと思ったのだが、それは無理であった。
 胸はワクワクと躍った。校長はおろか、安田先生以下の誰もが知り得ないだろう、古くて新しい事実なのだ。その記事を見つめているうち、手がブルブルと震えてきた。



  

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posted by はくすい at 15:37| Comment(0) | 虹のかなた

第6ホームページW・G会議の報告

昨夜のバトミントンは暑さなのか?更年期なのか?顔から大量に汗が吹き出し、ラリーが続くと心臓?肺?が苦しかった管理人ですふらふら
皆さんもこれからの季節、体調管理には気を付けましょうexclamation×2

先週6/23(土)に開催されました第6ホームページW・G会議議事のご報告を致します。
7名の参加者にアドバイザーの御手洗氏(E60)も参加して下さり、サイトマップ(M45澤氏提案)の承認のランク付けと担当者を決めました。

次回7回目は7/28(土)10時〜
  8回目は8/25(土)封緘作業後(13時〜)
  9回目は9/22(土)総会前理事会後(11時〜)

となっております。お時間のある方は是非、ご参加お願いします。



A43朝倉氏が釣られたお魚です。美味しく天麩羅で頂きました黄ハート
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posted by はくすい at 15:30| Comment(0) | ご報告

2018年06月21日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ㊺

その一 異郷の空へ㊺
 

その妖精は立ち止まり、ふいに声を掛けてきた。
「おはようございます! 山ノ上さん! 昨日(きのう)は良く眠れた? 」
高いトーンの透き通った声である。この声も、あの夢の中の少女とそっくりだと思った。
 眩しい光の中から現われたその女の子は、目鼻立ちが整いくっきりとした大きな目をしていた。そして不思議そうな表情でジッと見たのだ。そんな態度に、とまどいと気恥しさを感じて、少しうろたえた。すると、何故だか知らないが、顔がカーッと熱くなった。
「いや、あのう・・・、なんで、こんなに朝早う来たん? 」
やっと言葉を返した。急に心臓がドキドキと鳴った。
「アタシは、剣道部のマネージャーなんよ。みんなの世話役なんよ。そやから早う来たんよ。別に、おかしくないでしょ? 」
食入るように見つめて話すこの女生徒は、他校の生徒である彼に、少しは興味を持ったのだろうか。
「そ、そやけど、汽車があれへんやろ? 」
「家(うち)? 家(うち)はすぐ近くなんよ。歩いて五分もかかれへんのよ。そやから時間なんか、かめへんのよ」
真っ白なワンピース姿で、まるで踊るかのように、軽やかに体を動かした。
「あ、そう・・・」
その、妖精のような姿にドキドキしながら、生返事をして立ち上がった。
もう起床時間になりそうだから、みんなも起きて来る筈だ。今、こんな可愛い女生徒と、道場で二人で居る処を見つかると具合が悪いと思ったのだ。それで彼女には黙礼をして、急いで道場を出たのだ。
 柔道場へ戻ると全員が起きており、各々は顔を洗ったり布団を片付けたりしている。無論、布団片付けは一年生である。すぐに手伝いに加わった。

  

つづく



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