2018年05月15日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へ㊲

その一 異郷の空へ㊲
 

ホーッ! 」
と大きく息を吐き、両手で額の手拭いを外した。そして静かに道場の中心部に正座をした。顔を上げて、ゆっくりと四方を眺めた。あの窓、この床、あの部屋、あの電灯・・・。とうとう、思い通りの作業をやり遂げたのだ。
 苦しかった。シンドかった。暑かった。そして、思いっ切り辛かった。けれども、楽しかった日々でもあったのだ。
 丸々九日間の時間を要して、やっと納得できる道場を作り上げたようだ。両腕にはスリ傷が多数あり、ひっ掻き傷も数多くあった。両手の指には多数のマメが出来ていて、その全てが割れていた。腰は勿論、全身の筋肉と関節がズキズキ、ギリギリと痛んだ。もうすでに、陽は西に傾いていた。
「ほう・・・。もう出来たんかいの。儂にも見せてくれえの」
そう言いながら小父さんが、瓢々と道場に入って来た。入り口の処に履き物を脱ぎ、ちゃんと裸足になっている。
「おおっ、こりゃあ良い道場じゃなぁ・・・。儂も若けりゃあ、もう一度、やってみたいがのう・・・」
辺りを見回した小父さんは、竹刀の素振りをする動作をした。それを見てアッと驚いた。その動きは実に素直で理に叶っている。昔取った杵柄なのか、積み重ねたものを体が憶えているのだろうか。
「おいやん。ありがとうございました。最初の日のスイカは、とてもおいしかったです。お陰様で、練習出来るようになりました! 」
感謝を込めて、深く頭をさげた。
「いやいや。これは、おまはんの努力やで。頑張ったんは、他(ほか)の誰でもないんや。おまはんやで。儂はな、この目でちゃーんと見てたんやで」
「あっ、そうやったんですか・・・」
帰る時は、いつもキチンと片付けていた。それを見て『ヨシヨシ』と、まるで自分の事のように喜んでいたのだ。瓢々とした風貌からは想像が付かない程の、鋭い神経の持主なのだ。それだけに校長の信頼が厚く、永年に亘って学校を守っているのだ。
「剣道部を創ると言うても、面倒な事があるやも知れん。けど、頑張りなはれや。儂も応援してるでのう・・・」
「ハイッ! ありがとうございます。ボクは頑張ります! 」
胸を張って答えた。
 道場を出る時、その中心に向かって
「ありがとうございました! 」
大きな声で挨拶し、礼をした。そして、ゆっくりと扉を閉めた。


  

つづく



敦賀の海の幸食べてきました❣
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posted by はくすい at 16:44| Comment(0) | 虹のかなた

明後日5/17(木)は体育祭です

日曜日の雨が嘘のような、良いお天気晴れですネ

今週17(木)は母校の体育祭で、今日は朝からスタンドの組立です。
お時間が良い方は是非、ご来校下さい。管理人も在籍しています。




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白水会から寄贈したスタンドを組立中
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posted by はくすい at 16:33| Comment(0) | お知らせ