2018年02月01日

M35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へL

その一 異郷の空へL
 
あくる日の月曜日。授業が終ると担任の教師のもとへ行った。家庭内の事情については、詳しくは言わなかったが、
「家庭の事情で、学校を辞める事になりました。母の田舎へ行くんです」
短く教師にうち明けた。担任の教師は固い表情で
「そうか。それは残念だ」
と短く答えた。それは母親から連絡が入っている様子であった。
 次に剣道部の顧問の処へ行った。
「儂はお前には期待していたんやぞ。中学校時代から知っていたし、次の新人戦には試合に出そうと思ってたんや。家の事情があるんやったら、そりゃあ仕方がないやないか。けど、どこへ行ってもやな、稽古だけはしっかりとしておくんやぞ・・・。分かったな」
右手で、肩を叩いて言った。実にぶっきらぼうではあったが、その短い言葉の中身は、とても温かくて深い味のあるものであった。思わず目頭が熱くなったが、グッと涙をこらえた。
 剣道部のみんなには、先生が話してくださる、という温情なので、加本賢一と浅田幸夫だけには会った。そして、校庭の隅でこっそりと別れを告げたのだった。十七円のパンの友情のために・・・。


  

つづく


posted by はくすい at 14:01| Comment(0) | 虹のかなた