2017年12月26日

Ⅿ35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へE

その一 異郷の空へE
 「おーい! 山ノ上クーン。ちょっと、待ってえなぁ! 」
通用門を出たところで、うしろから大きな声をかけられた。振り返えると、加本賢一と浅田幸夫が小走りでやって来るのが見えた。
「なァ山ノ上君。お前、腹が減ってへんか? ワシら、無茶苦茶減ってんねんで。ちょっと旨いパンでもカジらへんか」
「そらあ、かめへんけど、ボク、パンなんか持ってないで。アンタらは、そんなモン、持ってるんか? 」
「あるある、あるねんで。オレが連れってやるがな。ええ店があるんや、すぐそこやで。早う行こ」
加本賢一の言葉に、浅田幸夫がニッと笑って頷いた。その頷きが何を意味しているのかは知らないけれど、彼らに付いて行く事にした。
 三人は並んで歩いた。いつもの帰る方向とはまるで反対の方へ向かった。宵闇せまる住宅街に、ボンヤリと街灯が灯っている。二ツ目の辻の角を左へ曲がったところに、白い建物の作りパン屋があった。
「おっ! オイッ、今日はツイてるでェ・・・。見てみい、店番してるのはお姉ちゃんやで。これがええねんや」
加本賢一が大きな声で言った。店頭にはポッチャリとした、二十四・五才と思える女性が居た。何が良いのか分からなかったが、うながされるままに店に入った。
「お姉ちゃん、十七円のパンを三ツ! 」
大きな声で賢一が注文した。
「アイヨッ」
応えてお姉さんは奥へ入ったが、すぐに長い食パンを抱えて出てきた。俎板の上にパンを置き、大きな包丁で分厚く切った。そして横にある壺の蓋を開け、ナイフを使って、ピーナッツバターをパンの片面にたっぷりと塗りつけた。これが加本賢一の言う、十七円のパンなのである。

  

つづく


 
posted by はくすい at 15:37| Comment(0) | 虹のかなた

2017年12月21日

風の便り(C科)

会員の皆様方、お元気ですか?
不覚にも風邪を引いた管理人ですもうやだ〜(悲しい顔)熱はありませんが、咳と鼻詰まりで苦しいですふらふら

久しぶりの風の便りをupさせて頂きます。

C(窯業科)の方々です

C34徳田耕一・・・C34卒業の方、徳田までご一報ください。
         072-792-4561 030-6134-7372

C34妹尾修・・・明るく冗談が好きな森本健治君が2015.9月に
        死去しました。安らかに!!

C34堀信夫・・・一昨年C34のメンバー森本氏が他界したことが
        一番寂しい、出来事でした。
        今は大阪市立美術館の日美二科展用作品陶作中
        です。

C38大杉雅康・・・泉工卒業生の皆様へ、私共C38卒同窓会を
         一昨年より数名で開催しておりますが、残念
         ながら、大半の同級生の連絡先が不明です。
         皆さんの周辺にご存知の方がおられましたら
         事務局へご一報賜れば幸甚です。
     
C40西田繁雄・・・今年古希を迎え、健康に留意して頑張って
         います。

C43後藤清剛・・・ 昨年6月末で、45年間の勤務を終了し、元気
         に暮らしてます。



事務局の窓に巨大カメ虫がexclamation×2カメ虫の多い年は豪雪になるとか雪
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posted by はくすい at 11:36| Comment(0) | 通信だより

Ⅿ35宮坂正春氏 執筆の青春小説『虹のかなたへ』連載開始!その一 異郷の空へD

その一 異郷の空へD
 部活が終るのは夕方の六時頃である。終りの礼をする時には、新人たちはすでに体力使い果たしてしまって、ヘトヘトである。稽古着は大量の汗を吸って、ボトボトになっている。喉がカラカラに渇いているし、口の中に出てくる唾液が相当に塩辛い。お腹は空腹になっていて、おヘソが背中に付きそうな感じがする。水で喉を潤し、早く着替えて下校する、などとは、とんでもない話なのである。新人には、まだまだ仕事が残っているのだ。
 
最初の時とは反対に、先輩方の防具を片付けなければならない。稽古着を軒下に干し、雑巾やバケツ、コップなどを洗い流して片付ける。床を箒で掃く。これらが済んで後、やっと着替える順番が廻って来るのであった。校舎の端にある手洗い場で手拭いを絞り、体の汗を拭う。この時、
「これでやっと、練習が終った」
とホッとする瞬間である。家に辿り着く頃には、頭上に月が皇々と輝いているのであった。
 
毎日毎日、激しい練習の明け暮れであった。礼儀作法と言葉遣いには、特に厳しく躾けられた。剣道は『礼に始まり、礼に終る』のである。そして、半月ほど後に、浅田幸夫が入部したのだった。
  

つづく



posted by はくすい at 10:47| Comment(0) | 虹のかなた